和歌山:友ヶ島のラピュタのような廃墟と港町のノスタルジー

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和歌山県の北西端に位置する加太の沖合に、まるで時間が止まったかのような不思議な島が浮かんでいます。その名は友ヶ島。かつての軍事要塞としての役目を終え、今ではレンガ造りの廃墟が緑に飲み込まれる幻想的な姿を見せてくれます。アニメ映画の世界を彷彿とさせると話題のこの島は、バイクで港まで駆け抜け、そこから船で渡るという二段構えの冒険が楽しめます。今回は、歴史と自然が織りなす非日常の島旅へご案内します。

加太港への海沿いツーリングと島へのアプローチ

友ヶ島への旅は、まずは和歌山市の北端にある加太港を目指すことから始まります。大阪方面からであれば、海岸線に沿って南下するルートがおすすめです。潮風を感じながら愛車を走らせていると、次第に道幅が狭まり、昔ながらの漁師町の風景が広がってきます。加太の街並みはどこか懐かしく、狭い路地や古い建物が並ぶ様子は、都会の喧騒を忘れさせてくれる心地よさがあります。

バイクを港の駐車場に預け、定期船に乗り込む瞬間は、何度経験してもワクワクするものです。船が港を離れ、次第にバイクを停めた陸地が遠ざかっていく様子を眺めていると、日常から切り離されていくような感覚を覚えます。約二十分の船旅の間、紀淡海峡の波に揺られながら、これから向かう無人島への期待に胸を膨らませましょう。青い海の上にぽつんと浮かぶ島の緑が見えてくる頃には、ライダーとしての顔から一人の探検家としての顔へと気持ちが切り替わっているはずです。

時が止まったような軍事要塞の跡を巡る探検

友ヶ島に上陸して一歩足を踏み入れると、そこには鬱蒼とした森と、ひんやりとした空気が待ち構えています。島内にはいくつもの砲台跡が点在していますが、中でも第三砲台跡は必見のスポットです。地下へと続く階段を降りると、そこには赤レンガ造りの弾薬庫が静かに佇んでいます。暗闇の中に差し込む一筋の光が、苔むした壁面を照らし出す様子は、まさに映画のワンシーンのような美しさです。

この島にはかつて多くの兵士が駐留していましたが、今では鳥のさえずりと風に揺れる木の葉の音しか聞こえません。人工物が自然に還ろうとするその過程を目の当たりにすると、不思議な哀愁と静かな感動が押し寄せてきます。要塞としての役目を終えた後の長い時間が作り上げたこの空間は、ただの観光地とは一線を画す圧倒的な存在感を放っています。島内はアップダウンのある未舗装路も多いため、しっかりとしたブーツで歩くことが推奨されますが、その苦労を補って余りある絶景がいたる所に隠されています。

加太の港町で味わう海の恵みと旅の締めくくり

島での探検を終えて再び船で加太港に戻ってきたら、最後のお楽しみは港町ならではのグルメです。加太は真鯛の一本釣りで有名な場所であり、周辺の食事処では新鮮な鯛を使った贅沢な料理を楽しむことができます。特に、出汁の効いた鯛めしや、身が引き締まったお造りは、歩き疲れた体に元気を分け与えてくれます。港に停めた愛車を眺めながら、島での冒険を振り返りつつ過ごす食事の時間は、何物にも代えがたい贅沢なひとときとなるでしょう。

お腹が満たされた後は、周辺の淡嶋神社を参拝したり、狭い路地をバイクでゆっくりと徐行しながら散策したりするのも良いでしょう。加太の街全体が持つノスタルジックな雰囲気は、友ヶ島の神秘的な体験を優しく締めくくってくれます。日が傾き始め、オレンジ色に染まる海を左手に眺めながら帰路につくライディングは、この旅のハイライトを飾るにふさわしい爽快感をもたらします。歴史の重みと自然の生命力を感じた一日は、きっとあなたのバイクライフに深い思い出を刻んでくれるはずです。